どこかの球団名をもじったものではなく、生命科学分野のDNAです。
竹材は前作の「六角形のバンブージョッキ」よりひと一回り大きい外形75mm。
長さは、節を真ん中にして225mmになっていました。
その出っ張った節を彫刻刀で削り取る。
更に彫刻刀を用い、節から外側に向かって皮を削り取り、螺旋をマーカーで描く。
節の部分で一周し、上から下までで二周するラインにします。
ラインに沿って、スチール鑢と彫刻刀で切り込みを入れ、
その180度対面にもラインを描く。
これで、二重螺旋になります。
そのラインを深くはっきりさせる為、平刀やキワ刀(切り出し)で溝を彫り、カンナ鑢でそれを丸く広げる。
節から下側は、切り離していきます。
チンタラ削っていると時間がかかるので、鋸を使用します。
角や縁を丸くして、ほぼ形が出来上がりました。
上は酒に焼酎、ビールなどを注ぐカップで、下は幅広の二本足としています。
ここまでくれば、もうお分かりでしょう。
遺伝子DNAは二重螺旋構造になっています。
細胞分裂時はこれが分離し、部分的に2本の鎖になります。
夫々が細胞内のスープから相手となる分子を探してくっつけ、再び捻じれて、2本の螺旋構造となります。
このようにしてDNAがコピーされ、DNAを含む細胞核が分離し、それを覆う細胞膜も二つとなって、細胞分裂です。
このようにしてコピーが繰り返され、生長していくのです。
私達生命誕生のときは、精子と卵子の結合後に爆発的な細胞分裂が起こり、人体が形成されていきます。
全てはDNAのコピーが主役なのです。
DNAがコピーされていく事を簡単に分かり易く説明している記事がありました。
以下をクリックして御覧下さい。
http://www.ueharazaidan.com/dna.html
更に調べると、遺伝子と生命の関係を分かり易く記述しているものもありました。
http://www10.plala.or.jp/lapita/gene/dnabrain/dnabrain1.html
DNAは通常右巻き(時計回り)の螺旋になっています。
これは左巻きですが、少数派で左巻きのものもあります。
私の頭も左巻きと言う事で^^;
続いて仕上げ行程です。
鑢やサンドペーパーで擦ったものには、小さな傷があります。
滑らかなようでも、傷だらけです。
そこで、平刀やキワ刀を用いて表面を薄く削っていきます。
光の反射で光っている所が、仕上げ行程に入っている部分です、
仕上げに2週間ほどかけていると、このようになってしまいました。
この竹が私の意図を汲み取り、DNAが2本の紐になっていく様子を現してくれたのです!
しかし、そんな事があるはずも無く、
竹林から切り出して日を空けず作業を始めたので、乾きながら変化していった。
と言う事でした!
下から見るとこんなに広がっています。
ネタバラシ。
半年ほど前の作品「竹細工・鉛筆立て(3013.03.08)」です(これは右巻き)。
これをヒントに、二重螺旋→DNAが思い浮かびました。
秋の夜長です。
分子のスープから誕生した生命と進化の不思議に想いを馳せ、
好きなアルコールで酔ってみるのもいいのでは?
と思いますが、どうでしょう。
竹で作った容器シリーズは、仕上げ段階の次回作でアイデア出尽くしですが、
左巻きの頭でその先も考えていきます

この記事へのコメント
亜子
DNAなんて、よく思いつきましたね素晴らしい
アルクノ
亜子さんに褒められて、このDNAタイプのバンブーちゃんも喜んでいると思います。
ポイントは二重螺旋にしたことです。
二重螺旋=DNAと頭の中にあったので、あとはトントン拍子に事が運びました
てくてく
美味い酒&ビールが飲めますね。
てくてく
アルクノ
アルクノのお遊びでしかありませんが
DNAのことを調べれば調べるほど「DNAクン頑張ってるな~」の気持が強くなります。
秋の夜長ですので、楽しみながら呑みたいですね
かっぱちゃん
動きがあってきれいでいいですね~♪
DNAをヒントに思いついたと言うアルクノさんの柔らかな発想がすごいです。
アルクノ
美術工芸品なんて言われると、このバンブーちゃんも恥ずかしがると思います
こんなに広がるとは思いませんでしたが、動きのある作品になりました。
勉強では宇宙とか科学方面に興味があったので、螺旋からDNAはスンナリでした。
風子
DNAのウンチクあたりは、この私には難しかったので、イッキ読みしましたが、アルクノさんの奥の深さがよ~くわかりました
左巻きの頭なんて、とんでもないです
次回も斬新な作品を期待してます
等とプレッシャーを与えてはいけませんよね
簡単なもんでも、なんでも、こんなものができましたと、UPして頂くだけで、楽しいですからぁ~
アルクノ
DNAのオモチャと思ってください。
今までの路線と違い、唐突に、学問的な話になって面食らったと思います。
分子レベルのDNAから、広大な宇宙までカバーしているアルクノです
次回作品は、シンプルスタイルだけど捻った感じにしています。
頭はたいして捻らずに作れたので、とっつきやすいと思いますよ。
乞う、ご期待
yoppy702
いやぁ~ビックリです。
前回に少し触れられてましたが、確かに、こちらの方が複雑です。
鉛筆立ての螺旋の時も、形状にビックリしましたが、この二重螺旋の方は、パッと見た時に、「エッ? どうなってるの?」
行程の複雑さよりも、高度な技術がないと、二重にならなかったり、ボクなんかやったら、手が傷だらけになりそうです。
DNAの二重螺旋構造ですかぁ…鉛筆立てから、この形状を思われたと書いてますが、普通、思わないですよ。
何か、このDNAの形状が印象に残っていたのでしょうか?それとも、DNAの事を勉強されていたとか?
DNAの記事のご紹介で衝撃的(ボクが知らないだけでしょうが…)やったのが、ガン細胞。
もともと、ガン遺伝子は、誰にでもあるもので、細胞増殖には欠かせない遺伝子だが、発ガンして悪さをしないケースの方が多い。でも、何かの拍子に、発ガンして活性化してしまう。
何かの拍子というのは、例えば、喫煙であったりとか…という事なんでしょうけど。
イメージ的には、宇宙の彼方(?)からやってきて、人の身体を蝕んでいくエイリアンやったんですけど…(^^ゞ
ここまでの作品になってくると、カップという実用品よりも、芸術性の高い竹の彫刻ですね。
ナイフ、杖もそうですが、この竹細工シリーズも含めて、個展ができますね。
その時は、教えてくださいね。差し入れを持って伺います。(^^)
左巻きの方って、両利き or 左利きの方が多いらしいです。
という事は、器用な証拠ですね。(^^)
ふぉるま
DNAになぞらえての解説に感動です
アイデア出尽くしと仰ってますがすぐに湧いてこられると思ってます
楽しみにしています~
アルクノ
螺旋の鉛筆立てから、二重螺旋のアイデアが浮かび、それを分かり易くする為DNAの登場となりました。
私の頭の中には、二重螺旋=DNAの構図があり、
染色体DNA→螺旋の分離→コピー→細胞分裂→成長の図式もその構図の横にありました^^)
まず二重螺旋がどういうものかを視覚的に見せたかったという事がありましたね。
手順に従って作れば、必ず二重螺旋になりますのでご心配なく。
彫刻刀の扱いに慣れていないと傷だらけになるかも知れないので、刃物用手袋はした方がいいです。
そこが、心配です。
ガン細胞は誰もが持っていて、発症するか否かは、日々の生活、食事、嗜好品によるのだと、よく言われます。
タバコはそのガン細胞に成長力と活力を与えているようなものなんですよ、yoppyさん!
小さなガン細胞が、エイリアンに化けないようにする為には、発がん性物質を避けるのが一番です。
お医者さんに聞くと、まず最初に「たばこは止めなさい」と仰いますデス。
芸術云々はさておいて、
今回は、考えたものを形に現す楽しさがありました。
竹は堅くて、力仕事ではあるんですけど、
65歳の私にもできるんデス^^)
ものづくりの楽しさを味わって頂きたい、という気持が一番ですね。
彫刻刀は右で持ちますが、削る箇所によっては左じゃないといけない場合があります。
私も、徐々にですが、両利きに進化する可能性が出てきました
アルクノ
私も、節のある筒でしかないこの竹で、色んなものを作るもんだと、
半ば呆れています^^;
今回、DNA君には大活躍してもらったので、
感謝しています^^)
アイデアがドンドン湧いてくる、
新薬でも開発されないかと願っています。
期待に沿えるよう、頑張りますデス
yokkosan
聞いたときはそんなアホなと思いましたが、
iPS細胞が見つかり、「現実味を帯びてきた!」と思いました。
DNA再生には限りがあると知り、
新陳代謝が激しいと・・・
いろんな事を考えました
考えて考えて考え尽くしているうちに、ものすごいアイデアが浮かんでくるそうですね
アルクノ
人生200歳だと趣味の達人になれますね。
ストレスはその寿命を縮める要因だそうです。
のんびりしながら、健康で、100歳位まで永らえられたら充分です
これからも色々考えて、
そのアイデアを作品に活かしたいデス
kazukun
DNAのお話も素晴らしいですが、それと竹の工作とのコラボレーションには圧倒されました。
アルクノ
木工や竹細工は、今まであまり見たことが無いアイデアで勝負しています。
技術はたいしたこと無いので、誰でも真似出来ると思いますよ。
鉄棒でクルクル回る方法のアドバイス、ありがとうございました。
説明の仕方が素晴らしく、運動動作の仕組みをを知り尽くしている専門家だと思いました。