神戸市民に最も親しまれている(と私が勝手に思っている)、兵庫区の中心としてある湊川の北に位置する菊水山(458.8m)を紹介します。
過去何度も登っている山で、アクセスは手軽だがダム下から結構ハードな登山道を登ります。
梅雨時ですが貴重な晴れ間がやってきたので、北区にある自宅からふらっと出かけてきました。
この菊水山は自宅裏山の丹生山系と比較すると、表の山と言えます^^)
恐れ多くて、裏山などとはトテモ言えないのです^^)
石井ダムの管理道路が出来る以前は、鈴蘭台駅から下ってこの菊水山に登り、下山して烏原貯水池、更に下って湊川へ向かう道が北区と兵庫区を結ぶメインの山越え道でした。
湊川駅の南にある新開地駅から直ぐ東の駅、高速神戸駅の上には湊川神社があります。
後醍醐天皇の命を受け、不本意ながら足利尊氏と戦って敗れたのち自害した楠木正成公を祀る神社です。
神戸市民には楠公(なんこう)さんとして親しまれています。
その御紋は菊花の下に流水をデザインした菊水で、その軍旗を掲げて戦いました。
正成の像は兵庫区役所前にあるが、皇居外苑にもあるそうです。
興味のある方はネットで調べてみてください。
地域のボランティアの方に教えて頂きながら歩いた「兵庫区歴史さんぽ道シリーズ③ 楠木正成と南北朝の争乱(2011.10.11)」
https://arukuno.seesaa.net/article/201110article_5.html
にも、その正成公のことを記しています。
ですから、菊水山は神戸市民に親しまれている山と言うことになります。
神戸電鉄の情報によると、
『菊水山の由来は、昭和10年の大楠公六百年祭で山の中腹に楠木氏の家紋である「菊水」をかたどった植樹をしたことから、この名がついた。』
とあります。
毎日登山の会も結成されていて、山頂の下にはその記帳所もあります。
今回のルートは自宅~鈴蘭台駅~ダム管理道路~石井ダム~六甲縦走路出会い~菊水山~NTT管理道路~鈴蘭台駅~自宅で、距離は約13km。
神戸電鉄・鈴蘭台駅を基点にすると7キロほどのショートコースですが、石井ダムへのウォーキングと菊水山へのハイキングをドッキングさせた感じになります。
このダム管理道路を歩いて石井ダムに向かう途中には、先日紹介した君影ロックガーデンと妙号岩が眺められるポイントがあり、菊水山山頂からも眺められます。
今回は、その紹介の為も兼ねて歩きました。
「イヤガ谷東尾根から妙号岩と君影ロックガーデン(2012.06.29)」に興味のある方は此方を御覧下さい。
https://arukuno.seesaa.net/article/201206article_10.html
今回のレポートはその付録のような感じで作成しました^^)
またしても前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
自宅から40分ほど歩くと鈴蘭台駅です。
線路に沿って南へ向かうと菊水山への道と別れ、神鉄車両工場の裏側にダム管理道路の基点がある。
車両が入れないように施錠しているフェンスの横から人と自転車は通れるようになっています。
たまに、ダム関連の車が出入りするのでご注意下さい。
暫らく線路沿いを歩くが、
この線路は菊水山を突き抜けて石井ダムの下へと下って行きます。
トンネルを乗り越えて行くが、登る右に合歓の花が咲いていました。
水平道になった先に、この道標がある。
珍しいダムだと思うが、ここを下ると湖底のそばまで行けるのです。
2008年に完成した真新しいダムですが、その2年後には下に降りて散策できる遊歩道が開放されました。
ただ豪雨が続くと水没して歩けなくなる道で、そのことは分岐から下る所にある看板に書いてあります。
烏原大橋を渡る時、道標にあった憩いの森へ続く遊歩道が眼下に見える。
この道は行き止まりになっていて山へ向かうことは出来ないが、その先に君影ロックガーデンがある(↓)。
ズームアップしてみました。
過去画ですが、君影ロックガーデンから眺めた菊水山と烏原大橋の写真です。
橋上から前方を見上げると妙号岩です。
石井ダムも見えます。
妙号橋の手前には、兵庫登山会が設置した立て札がある。
踏み跡もあるようですがこの絶壁は登りたくないです。
この南無阿弥陀仏と彫られた文字を足がかりにして登るルートは、
バチアタリルートと言われています。
ダムの向こう側にも遊歩道があって水辺まで降りる事が出来ます。
誰でも行けるルートですが、ここに来れない人の為に私が案内します。
ダムに近付くと橋の上から、また合歓の花が眺められました。
ダムに到着です。
ダムの頂上部ですが、ダム湖に向かって半円状に張り出したバルコニーの様なものがある。
右奥には花壇や植木の傍にベンチも設置しています。
カップル達のデートコースにも使えるよう、兵庫県が設計して造り上げ、管理もしているお洒落なダムなんです。
この石井ダムの詳細は「ダムマニア 石井ダム」に多くの写真と共に説明されているので、興味のある方は御覧下さい。
http://dammania.net/?http://dammania.net/hyougo/isii.html
気軽に楽しめるリクリエーション設備のようなダムですのでお散歩感覚で訪れてみてはどうでしょうか。
水位が低いままのダム湖ですが、左岸に烏原大橋の下を通って水辺へ下る遊歩道が分かるでしょうか。
水辺からは勾配をきつくして上へと登れるようになっています。
向こう側へ渡って、頑丈そうなダムの堤体を眺める。
右の建物は管理棟で、その左側にはトイレも設置してあります。
下ると景色はこうなる。
夫婦岩のように見えなくもないが、右が妙号岩で、背の高い左が妙号岩の南稜ですね。
ダムに戻って南を眺めると、菊水山から出てきた3両編成の車両が鵯越駅に向かって行くところでした。
これがダムだとは思えないような光景ですが、
310段の階段を使って、高低差66mを一気に下ります。
下った所で、扉のガラスにレンズをくっつけて撮影しました。
これはエレベーターに向かう通路。
ダムの内部には多目的ホールもあるが、まだ使われていないようです。
常時放水しているダムで、最大放水量は毎秒15トン。
毎秒15トンを超える水が上流から流入すると、ダム湖の水位が上昇します。
これは100年に一度の大洪水に備えているという事です。
生きている間にドンドン水位が上昇していく状態を見る事はないと思うが、このダムが完成した時、検査の為に放水を止めての満水状態を確認しているので心残りはありません^^)
ここから後編のハイキングに突入します。
神戸電鉄の高架を潜ると、その下で六甲縦走路に出会うが、左へ向かうのが菊水山への順コース。
右へ向かってドンドン下ると、下水処理場~烏原貯水池~東山商店街~湊川~新開地となる。
六甲縦走路の逆コースは処理場下から鵯越~高取山~妙法寺~須磨へと続いています。
烏原川を渡るとき、
石井ダムと別れます。
手前は古くからある堰堤で、既に満杯状態です。
橋を渡ると直ぐ山道になり、トンネルの上へ登っていく(11:23)。
なだらかになった先に休憩所があるが、
紫陽花が咲いていた(11:32)。
ここから苦難の道が始まるが、兵庫登山会からのありがたい言葉を頂いて一気に登ります。
以前1000段ほどの階段上がると山頂ですと、同行する参加者に言った事がある。
今回は100段ごとに写真撮影をして、その確認もします。
まずは100段目(11:36)。
設置している階段だけでは無く、段差のある石や木の根っこを踏んだ場合も数えながら登る。
分刻みの表示ですが、間隔が長いところは坂道がある場合と、私がヘロヘロになってスピードダウンしている場合とがあります。
200段目(11:38)。
300段目(11:42)。
400段目(11:44)。
500段目(11:47)。
600段目(11:51)。
700段目(11:54)。
760段目の見晴台で小休止(11:56)。
ここで六甲縦走路が確認できます。
↓の左下にスタートの須磨浦公園駅がある。
鉢伏山↓~旗振山↓と歩いて、須磨アルプス~妙法寺~高取山~鵯越駅↓までが4分の1コースです。
更に、以後のコースも分割すると・・。
鵯越駅からこの菊水山に登って鍋蓋山~市が原~新神戸駅で半分。
新神戸駅から市が原~摩耶山~六甲山~魚屋道~有馬温泉駅で4分の3.
最後に有馬温泉駅~六甲山~宝塚でゴールとなります。
そんな事を考えているうちに時間が経過するが、800段目(11:59)
900段目(12:01)
あともう少しですが、山頂に建つ電波塔も見えてきました。
919段で山頂広場です(12:01)
振り向くと神戸港がなんとか見えます。
橋を渡った登山口からここまで38分。
「あと900m」の表示看板からは29分間でした。
早くも遅くも無く、標準的な所要時間だと思います。
この919段はステップの置き場所や段々を回避して横の坂を行く等の登り方で変わってきます。
人によって異なると思いますので、あくまでも参考値にしてください。
菊水山と彫られた石碑の右に山頂三角点がある。
その奥に電波塔の建つ展望台です。
丁度お昼だというのに、暑さのせいで誰もいない東屋で昼食です。
食後展望台に上がり、君影ロックガーデンを上から眺める(12:20)。
一部剥げているのがそれです。
広角にすると左にチラッと見えるのは妙号岩でしょうか、
木立ではっきりとは確認できません。
中央の平べったい山に鉄塔があるのは鵯越墓園から登れる高尾山です。
東に目を向けると摩耶山が確認できます。
右↓がその山頂で、左↓は元摩耶に建立された天上寺です。
光を浴びて天上寺の屋根が白く光っているので、クリックして御覧下さい。
下山はラクチンコースを選びます(12:24)。
ブラックラインは六甲縦走路で鍋蓋山へ向かいます。
オレンジラインが階段と山道の鈴蘭台コース。
レッドラインがお勧めのNTT管理道路のコースで階段は一切ありません^^)
九十九折を下るので距離は長くなるが軽快に歩けて時間的には此方の方が早い。
何時もオレンジラインを下るが、前日の雨で泥濘や滑りやすい所があるという予想です。
鈴蘭台駅までは約2キロで、13:11に到着。
ここで電車に乗ってもいいわけだが、最近歩いていないので3キロほどの登りを自宅まで歩いて帰りました。
自宅到着は13:55.
直ぐにシャワーを浴びて着替え、一気にビール、更にアルコール度9%の缶酎ハイ・ストロングタイプを連続で「プハー!」っと頂きました^^)
その証拠写真を撮り忘れましたが・・。
最後までご覧頂き、ありがとう御座いました

訂正 2012.07.06)
当初石井ダムの最大放水量は毎秒10トンとしていましたが、実際は15トンでしたので本文を訂正しました

今日、ダムまで歩いて確かめてきました。
最後にその証拠写真を添付します。
クリックして御覧下さい。
この記事へのコメント
ミックン
遠いので画像でご一緒させていただきました
最後の難関の階段、すごいですね
お疲れ様
アルクノ
神戸っこハイカーなら誰でも知っている山なので、遠方の方を想定し歴史も交えて立体的に紹介してみました。
この菊水山は六甲縦走路の中で難関の一つになっています。
じっくり見てると体が疲れたような感じになると思います
てくてく
少しの晴れ間も逃さず、長距離の歩行、菊水山の急登・・・流石は、アルクノさま。
近隣コースのご紹介、有難うございました。
てくてく
アルクノ
ダム管理道路に、こんなにも合歓の木があるとは思っていませんでした。写真を撮った以外の場所にも沢山あったのです。
菊水山は途中ヘロヘロになりましたが
山歩きを趣味にするものにとって、山頂まで行かない事にはお話にもなりません
てくてくさまが奈良方面へ遠征しての、長距離ウォーキングには何時も敬服しています
KURI
バチアタリルートは、あれをそのまま登れちゃうものですか!?驚きです。
「あと900m」からの29分間が、臨場感があって読ませていただいているだけで息が切れそうでした。
今回も楽しく読ませていただきました。(^_^)
風子
アルクノさんが今回歩かれたのはけっこう大変なルートのようですね・・
あの頃も頂上に、毎日歩かれる方たちの記録の表が貼ってありましたよ・・
梅雨のこの時期、ダムの水位はかなりあがっていることでしょう・・ダムの放流をじかにみるとけっこうダイナミックなんでしょうね
アルクノ
六甲縦走路を起点の須磨から歩くと、4分の1を過ぎ疲れてきた頃の菊水山です。
このハードな登りでヘロヘロになる方が多いと聞きます。
バチアタリルートは特別コースです
以前一度だけですが私が見たのは、上からロープを垂らし、命綱も括りつけての登りでした。
「あと900m」からの写真で息が切れましたか。
私も文章の校正と写真の確認を何度もしているうちにその感覚が蘇ってきて、疲れちゃいました
アルクノ
風子さんが以前登ったというのは、神鉄車両工場の近くからのルートで、下山の写真にあるオレンジラインではないでしょうか。
今回のようにダムの下から登ると慣れない人だと1時間ぐらいかかっちゃいます。
でも「登った!」と言う充実感が味わえますよ
このダム、少々の雨ではなかなか水位が上昇しませんが、放水量はかなりありました。
この放水口は円形になっていて、筒状態になった水がドドッと出ていた事がありました。
水位が上昇し、そうなった時にまた報告しますので暫らく(長らく?)お待ち下さい
yoppy702
イイ所にお住まいですね。(^^)
裏山だけでなく、表山もご自宅から歩いて行けるなんて。
君影ロックガーデンから眺めた画像を載せて、比較するのが、とても楽しいです。こんなシーンって、めったに拝見できませんもの。さすがです。
「南無阿弥陀仏」が彫られた説明を見て…どうやって彫ったんやろ?150年前ですよ。
バチアタリルート…確かに。でも、先日、教えて頂いてチェックしたら、このバチアタリルート…南無阿弥陀仏の所を登るってでてました。この事だったんですね。
石井ダムのダムマニアの方も見ましたが、こんなダムがあるんですね。ダムだけを訪れても、結構、楽しめそう。今回のアルクノさんの写真を見ていても、「驚いた」っていうのが正直なところです。
「あと900m」の看板、イイですね。頑張らねばと思います。でも…919段…菊水山も登りたいと思ってたんですが…少し…(^^ゞ
ボクのガイドブックでは、鵯越駅からのルートなんですが、やっぱり、この919段を通ります?
ご自宅に戻られて、シャワー&ビール。
高架下もイイですけど、これはイイですね。
途中に、電車とか挿むと、なんか興ざめしますが、ご自宅から、全て歩いて行動できるというのは特権ですね。
で、再び、石井ダムまで行かれたんですか。
お疲れ様でした。(^^)
アルクノ
私の住む神戸市北区は周りが山々に囲まれているので、気が向いたらハイキング三昧と言うことになります
実際ふらっと出かける事が多いです。
君影ロックガーデンからの画像を載せたのは新しい試みですが、これで立体的に理解できるのでは、と考えました。
この妙号岩のでっかい彫刻作品の制作する方法を想像してみました。
上の大木か岩からのロープに自分の体を括りつけて作業したか、しっかりした足場を組上げて作業したかのどちらかだと思います。
石井ダムはユニークなダムとして紹介しているものが多いですね。観光目的でも楽しめるので、是非お立ち寄り下さい
菊水山の登山道は大きく分けて、鈴蘭台駅側からと鵯越駅側からとなります。
鵯越駅を出発してあと900mとある所から登るのは六甲縦走路を使っての正統派ですので、yoppyさんは(是非!)こちらからとなります。
鈴蘭台で「ちょっと一杯」もできますが、汗が一杯だったので、自宅でちょっと2杯にしました
実は今日、仲間を集めて「イヤガ谷東尾根から妙号岩と君影ロックガーデン」の実施日でしたが、歩き出して雨になったので「石井ダムコース」に変更しました
るはさま
特にエレベーターに向かう通路は戦闘員がでてきそうです(笑)。
アルクノ
私は、エレベータに向かう通路を見ていてバイオハザードを思い浮かべてしまいました
遊子
(('_'?)...ン?いつの間に憧れに?(笑))
行きたいと思いながらもいまだに行けず。
こんな調子なら六甲縦走しかないか!?(笑)
丁寧な説明で、分かりやすいです。
これなら一人でも行ける!
・・・行けないけど、('-'*)エヘ
アルクノ
神戸市民、いや兵庫県民憧れの菊水山です。
過去ハイキング計画に入れていなかったかな?
今まで避けていたのは、日本アルプスを登って、自信を付けてからと言うことだったんですね(笑)
真面目な話、本物山ガールの遊子さんが一人で行けることは保証書を発行してもいいくらいですが、何れまた計画にいれますので、是非参加してください
六甲縦走は、新神戸駅から宝塚までの後半26.4kmをまず制覇しましょう
かっぱちゃん
登頂おめでとうございます。
山登りもしながらも、合歓の花や紫陽花を愛でながら登られるところがアルクノさんらしくて素敵だなあと思いました。
南無阿弥陀仏という文字は、誰がどうやって掘ったものなんでしょう。不思議です。
神戸港が見えるなんて記事を読みながら感動してしまいました。
神戸は自然に恵まれたよい街ですね♪
アルクノ
恥ずかしながら「菊水山」の謂れは、退職してから歩くようになって知る事となりました
花の名前はあまり知らないのですが、合歓の花は私の好きな花なので、沢山あってホント素敵でした。
紫陽花もこのときは見頃でしたね。
この「南無阿弥陀仏」の文字を最初に見上げた時は、驚きと畏怖の想いで唖然としました。
一人の人間が彫ったので凄い事だと思います。
もし機会があれば、かっぱちゃんと全国の皆さんにも神戸の山を歩いて欲しいと思っています。
町と山がほんとに近いんです。
グリーンカントリーを実感できると思います。
erichann551
アルクノ
質問にお答えいたします。
鈴蘭台駅からNTT管理道路のある登山口まで約10分。
そこからダム管理道路を通って石井ダムまでは約30分です。
ただ、この管理道路には湖底に下る分岐があります。
石井ダムをじっくり眺めたい場合はそちらをお勧めします。
最後にダムの手前から上がることになりますが、5分ほど+すればいいでしょう。
ダムの上へ上がると、反対側へも降りることができますので、そちらからも石井ダムをお楽しみ下さい。