神戸森林植物園で植物の勉強(2011.09.18)

自宅から谷上駅まで歩き、山田道に入って1時間ほど登ると森林植物園になります。
台風15号の影響で暫らく不安定な天候ですが、この日は晴れました。
山田道は谷上駅を出て西に向かうと直ぐ案内標識があって、道に迷うことも無く歩きやすいハイキングコースです。
家族や友人を連れて汗を流して歩き、途中の弓削牧場で休憩するのもいいでしょう。
過去ログでの森林植物園は、昨年6月19日の紫陽花、同年11月13・14・21日の紅葉、今年6月26日の紫陽花と5回も登場した常連さんです。
よく訪れる森林植物園ですが、今回は日曜日と言うことで説明を受けながら園内を散策するイベントにふらっと参加してきました。

森林植物園に到着したのは12時半ごろ。
園内レストランのルピックで弁当を広げ、生中を水代わりにして頂きます。
この生中、量的に少ないと言うことで缶ビールを追加購入します。
空になったグラスに注いでやっと心が落ち着くことに。

食事が終わって出ると、森林展示館の前に里山の「はぎ散策受付表」が置いてあります。
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午後の部1時半を募集中で、私も神戸市北区1名として記入します。
(受付表に9月17日とあるのは18日の間違いです。)
まだ20分あるので、森林展示館に入ってキヨスミウツボの特別展を観賞します。
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その生態を説明したものや細密画が展示されていました。

葉緑素を持たずに植物の根に寄生する「キヨスミウツボ」ですが、此方をクリックし拡大させて解説文をお読みいただくとその概要が分かります。
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奇主としてはアジサイ、タマアジサイ、ムラサキシキブ、ウンゼンツツジ、アラカシ、サルナシ、ウラジロマタタビなど高木・低木・つる植物と、対象物としての好みや傾向は見られずに多種に及ぶそうです。

根に寄生する様子や花の生態を描写した細密画です。
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その成長過程は此方に説明されています。
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梅雨の時期だけ地上に顔を出し、開花して結実する多年草です。
花の構造やタイプについては此方を拡大して御覧下さい。
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この森林植物園では新池周辺で確認され、寄生する84%がウラジロマタタビだったとか。
寄生されたウラジロマタタビの幹はくねりやもつれるような現象が見られ、他のものと見分けがつくそうです。
逃れようとしてもがいているのでしょうか。

植物の根に寄生する様子です。
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六甲山頂付近で寄生していたのは全てアジサイで、それが2倍体となって根から茎が出てくる様子です。
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研究成果を纏めた「キヨスミウツボの生活」がA4版108ページ・2000円で兵庫県植物誌研究会から発行されています。


時間も来たので館外へ出て集合場所に。
2班に分けられ、私は「萩の小道」ではなく、
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園内散策の方へ。

ミニ図鑑を手にした研究熱心な小学4年生も参加ということで、説明される方にも熱が入ります。
神戸市民の花として制定されているアジサイがまだ咲いていました。
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このように八重になっているガクアジサイは改良された園芸種で、咲く時期をずらすことで希少性を持たせています。

正門から園内に入ると直ぐ林立しているセコイヤメスギですが、メタセコイヤと葉形の違いなどの説明を受けました。
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案内していただくコースは、北日本区を通ってマンサクの前から階段下って園内にもある山田道に入り、途中左の芝生広場へ下ります。
3時過ぎに長谷池の前で解散でしたが、1時間半ほど様々な植物の説明を拝聴しました。
過半は脳内記憶組織を素通りしてしまいましたが、翌日まで印象に残っていたものを写真と共に紹介したいと思います。

これはモミジと同じカエデ科のチドリノキです。
カエデとは蛙の手からきていますが、このように手の形をしていなくてもカエデ科です。
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カエデ科の葉は対になって葉が出ている対生が基本で、よく似たクマシデは互生なので見分けがつきます。
また実はプロペラの羽のようになっていて、風が吹いた時に枝から離れ、なるたけ遠くへ飛ぶようになっています。
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直ぐ下に落ちて発芽しても、自らの茂った葉っぱが日陰を作るので成長しない、という理由もあってそうさせるのです。
勿論、広く繁殖させるのが一番の目的です。

本日の参加グループの後姿です。
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コブシですが、
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このように樹皮がツルンとした樹木は他にもあります。

次にナナカマドで、もっと寒い地方では実が鮮やかな色になります。
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日本では紅葉が綺麗なことで有名ですが、西アジア、シベリア、欧州にも分布しています。
ナナカマドとは七回かまどに入れても燃え難いと言う意味だそうです。

これは高木のイイギリで、
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遠くから飛んでくる鳥にも良く視認できるように、高い枝の先に小さなブドウ状の房になった赤い実をつけます。

まだ出来たばかりの緑色で、葉っぱと区別し難いクチナシの実ですが、
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クチナシとは実が熟しても裂けない事で口無し、からきているとか。
染め物の染料に使われるそうです。

これも樹皮がツルンとしたナツツバキですが、6~7月にツバキに似た花をつけます。
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寺院の境内に良く植えられることで沙羅双樹とも呼ばれます。
それと良く似ているが、樹皮がやや赤いヒメシャラ。
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メグスリノキとあるがこれもカエデ科。
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3枚の葉のように見えるが、1枚が分かれたものでこれも対生しているとみなされます。
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最後になりましたが、これもカエデ科の植物です。
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このように沢山の実をつけると翌年この枝が枯れたり、その木が命を終えたりすることもあるそうです。
最後の生命力全てをこの実に託しているのでしょうか。
なにか痛々しい感じさえします。
可哀想なので名前は伏せておきます(その名前忘れた^^;)。

そこが長谷池の前で、解散となりました。
色んな説明をありがとうございました。

長谷池脇にはカキツバタがパラパラと咲いていました。
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秋支度に忙しい木々が沢山ある森林植物園でしたが、
散策した後、正門に向かいます。
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次のバスは3時50分。
9時50分から最終4時50分まで、毎時50分に無料送迎バスが北鈴蘭台駅に向かいます。
バスは定刻にやってきて、
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約10分で北鈴蘭台駅に到着しました。


あと2ヶ月もすれば紅葉の時期を迎えます。
ここ森林植物園は、近くの再度公園・修法ヶ原池と並んで神戸で一番有名な紅葉スポットです。
11月中旬にはまた訪れますので・・。

この記事へのコメント

  • てくてく

    アルクノさま
    好天の日を逃さず、精力的に植物の勉強、感心しました。
    更に充実したブログ、楽しみにしています。
    お疲れ様でした。^o^
                        てくてく
    2011年09月20日 10:31
  • アルクノ

    てくてくさま、気持ち玉二つもありがとうございます。
    植物に関してはホント知識が無いので、いいチャンスだと思って少し勉強してきました。
    ブログに活かせるようになるのは、まだまだ先になりそうです
    今回、足の疲れはあまり無いですが、頭が疲れましたね
    2011年09月20日 10:56
  • 花咲か爺

    私はもっぱら高山植物園へ良く出かけますが
    森林公園の方へはアジサイの頃とメタセコイヤなどが
    色付く頃に弁当持参でよく出かけます。
    今年は、ちょっと行けそうにありませんが
    また、時間を作って出かけたいものです。
    2011年09月20日 14:41
  • アルクノ

    花咲か爺さん、ナイス玉もありがとうございます。
    アジサイと紅葉が有名ですが、春の桜もいいですよ。
    冬に芝生広場が銀世界になると、ここは何処かと思ってしまいます。
    また時間を見てお越し下さい。
    2011年09月20日 15:29
  • 風子

    森林植物園には、こういった催しも多いですね
    山歩きの合間、合間に植物のお勉強はいいじゃないですか・・
    近ければ、園内を毎日歩いたりってこともできるのですが、我が家からではちょっと遠いかな
    愛犬のお墓のある動物霊園が近くにあるので、たまにはと思いつつ、行けてません
    2011年09月20日 16:07
  • アルクノ

    風子さん、ナイス玉もありがとうございます。
    風子さんのお家から車で来れば、動物霊園も廻って半日チョットかな。
    このような勉強コースがあることは知っていたのですが、長い間サボっていました。
    また報告できることがあればアップしますので、一緒にお勉強しましょう
    2011年09月20日 17:12
  • やまや

    私も植物は勉強中です♪でも、なかなか覚えきれなくて…(^^;)。自然観察員(インタープリター)のお話は面白くて飽きないですよね~♪あんなのもやってみたいです(^^)。
    2011年09月23日 01:44
  • アルクノ

    やまやさんも勉強中ですか。
    私の勉強は継続性が無く、忘れた頃にまた訪れると言うことでいつも最初から
    説明している方はインタープリターですか、たぶん頭の中に植物図鑑が入っているのでしょう。
    次から次へ興味深いお話が出てきます。
    私には録音機が必要です
    2011年09月23日 08:03

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JR道場駅周辺で植物の勉強(2015.09.27・日)
Excerpt: 普段、植物に対しての表現は、 「草が多い」 「花が咲いている」 「大きな木がある」で事足りているアルクノです^^)
Weblog: アルクノのブログ
Tracked: 2015-09-30 15:07