木彫り・自立する靴べら(2011.03.22)

完成後、これは木工なのか彫刻なのか分類に迷ったが、形を作るのに彫刻刀を多用したので木彫り作品とした。
画像

その制作過程を紹介します。

材料は百均で購入した丸棒です。
画像

次に不要部分は鋸でカットする。
画像

靴べらとなる部分を彫刻刀で削る。
画像

その靴べら部分を頭部に見立てて、胴体と脚部になるところを彫刻刀とナイフで削っていく。
お手本は何も無いので、自分で作ったイメージを具体化していく。
そのイメージは腕を省いた(後ろ側に収納した?)形の女性が薄布を羽織っているというものです。
画像
丸棒からなので、腕をつけるのが難しいと言うこととグリップしやすい形に仕上げにしたいという事でこうした。
後ろから見ると、腰を捻った姿になる。
画像

次に着色を施したのち、立たせた時のバランスを考えて下を少し斜めにカットする。
画像

着色したのは、これから仕上げるのに白いままでは細かい部分の凹凸が良く分からない、という理由の為です。
部分によっては彫刻刀やナイフも使うが、ここからはサンドペーパーが主役になる。
着色部分で凹凸を確認しながら削っていく。
画像

着色していることで、形状を確認しながら削り過ぎることなく仕上げることができる。
画像

後ろ側だが、腰を左に捻っている関係で左肩を下げている。
画像
布を羽織っているようにする為、裾が広がっているようなラインにした。
体の右側だが腰の捻りと右足の曲げを関連させている。
画像

羽織っている布地の下の皮膚と体内の骨格を想像しながら、全体の流れを考えて仕上げていく。

形が仕上がったので、漆の下塗り剤で塗装する。
画像

上塗りは黒漆を使用するが、立たせての塗装になるので塗料が下に流れ落ちないよう、薄めるシンナーは少量(原液の半分程度)にする。
3回塗って乾燥後ペーパーがけをする。
粘性の高い塗料になるので、表面が凸凹にならないように注意しながら塗り重ねていく。
凸凹になった場合は、再度ペーパーがけをして塗り重ねる。
乾燥後、漆を磨くのはボロ切れでもいいが乾いた布で行なう。
完成品を、四方向から撮影した。
画像

画像

画像

画像

次に上方から見たプロフィールです。
画像

更に、ディテールが分かるようにとペンライトを使って撮影を試みた。
画像

画像

画像


1ヶ月強をかけて完成させたが、自立する靴べらとしてオリジナル性を持たせました。
彫刻刀、ナイフ、鑢、サンドペーパーがあれば誰でも作ることが出来ます。
別に塗装しなくても、表面を滑らかに仕上げれば実用に供することができると思います。
ただ、漆塗装を施せば見栄えも良く、使用年数を長くさせるメリットがあります。
アクリル塗料による塗装でもいいが、塗膜がより硬い漆の方がベターです。


これとは別に、彫刻を習う以前に作成した漆塗りの靴べらがあるが、使用開始から1年以上が経過しているものです。
此方はデザインが単純なので、彫刻が苦手な方は参考にしてください。
画像
上の方にある穴はフックにひっかける為のものです。
画像
デザイン上とグリップ性を高める為に窪みをつけていますが、この窪みをもっと増やした方が実用的にはいいのかもしれない。
画像

作ろうとされる方へ、
靴べら部分は、薄く削り過ぎて使用時に加える力で変形させてはいけないので、厚みは両方とも3~4mmにしています。
当然のことですが靴べら部分の曲面を自分の踵に押し当てて、フィット状態を確認しながら仕上げて下さい。


今回の作品と合わせ、玄関脇にある靴べら2本です。
画像

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック

木彫り・足の形をした靴べら(2012.04.07)
Excerpt: 自立する靴べらシリーズ第3弾です。
Weblog: アルクノのブログ
Tracked: 2012-04-07 08:19